国籍法と国籍・DNAの関係

まずは国籍から

前提として、いずれも実子で、母は子を認知していることを仮定

1. 父(日本国籍)×母(日本国籍) → 全て日本国籍を得られる

2. 父(日本国籍)×母(外国国籍) → 認知の有無により異なる

結婚している していない
胎児認知している ○ 嫡出子 ○ 非嫡出子
生後認知している ○ 準正子 △ 非嫡出子
認知していない × 他人 × 他人

3. 父(外国国籍)×母(日本国籍) → 全て日本国籍を得られる(場合によっては二重国籍)

4. 父(外国国籍)×母(外国国籍) → 全て日本国籍を得られない


まず、2. の他人(名前を適当につけたので正式な呼び方ではない)は、父にとって子として認められていないので血縁関係を証明できず国籍を単純には得られないため、通常なら外国国籍となる・・・


・・・で 2. の△の部分が↓の訴訟および国籍法の改正によって日本国籍を得られるようになった。

判決要旨 婚外子国籍訴訟
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008060401000770.html



んで、DNAについてはこの場合、4. のパターン以外は日本国籍のDNAを持っていることになる。
したがって、この改正で
(1).DNA的に日本国籍を持つ親の子であり
(2).日本国籍を持つ親が認知していること
の両方を満たすことが、日本国籍を持つ十分条件となった・・・


ほいで、偽装認知の場合、上記1〜4のいずれであっても、そもそもの前提となる実子でないということで、 (1). の条件を満たさないため認められない・・・という風に解釈するとわかりやすいかも・・・


でもって、国籍法改正の反対の論点としては
a. △の部分が増えたため偽装認知ができる対象が広がった点に対する反対
b. 「以前より○の部分では起こっていたであろう」偽装認知に対する抑止力の不足
の二つがあり、その対策として実効性の最も高いと思われる「DNA鑑定の導入」を求める・・・と


・・・で、「DNA鑑定の導入」に関してはいろいろ問題があって、
I. DNA鑑定の対象となる範囲
II.DNA判定の費用
III.民法上の親子関係の規定
などがあり、そこがもめている原因になっている。


I. に関しては
父(日本国籍)×母(外国国籍) の組み合わせの場合の全てとするのが良いと思われます。
希少な例外でしょうが、父(日本国籍)×母(日本国籍) や 父(外国国籍)×母(日本国籍) は病院に以外での出産で、出産を医師などの第三者が証明できない場合は不正が可能として検査を行うべきでしょう。

II. に関しては
役所がDNA鑑定が必要と判断した場合は国が支払うということにして問題ないと思われる。
予想されている年間600人全員を対象にするとして1回10万円、年間6000万円となるがこの程度は個人的には必要な費用として見るべきかと思います。
偽装認知の親子が必ず全員不正に生活保護を受給したとすると毎月13万程度として年156万、生活保護が10年間続くとするとトータルで1560万となり、4人ほどこのDNA検査によってはじければ十分ペイできる計算になります。


III.に関しては
ここが一番の難しい点です。
国籍法では親子関係を規定しておらず、民法で親子の関係は決められているため、民法のその規定に手を入れて親子関係を正確に規定し直す必要があり、どの規定をどうするかが問題になるかと思います。


(I).DNA的に親と子がつながりを持っていること、および親からの認知を受けていることを、親子関係が成立する用件にする
・・・というのが、まず自分の基本的なの考え方になります。
現状の「認知」と「婚姻」を要件としていたり、200日規定200日規定・300日規定があったりするのは、この民法の成立当時、親子の血縁関係を調べるための技術がなかったため。婚姻した相手以外の子を懐妊する可能性は低いという判断の元、夫の子供としたものと思われます。
いま現在ではDNA検査というより確実な血縁関係を調べるための技術あるのですからそれを使うのが正しいと個人的には考えます。


メモ
 200日規定
  →「婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する」
 300日規定
  →「婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する」

参照
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A2%E5%A9%9A%E5%BE%8C300%E6%97%A5%E5%95%8F%E9%A1%8C