GPSとDNAと人権、プライバシーの問題

宮城県、性犯罪前歴者のGPS監視検討 唐突な表明に不信感も
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/01/20110123t11023.htm


まあ、この条例がやりたいことは二つかな?

  1. GPS端末の常時携帯の義務付け
  2. DNA提出


で、個人的な感想としては刑期を満了した受刑者に対してGPSの携帯義務ってのは人権やプライバシーの面でだめだろ・・・
一応、「建前」としてであっても、行政は元犯罪者であっても、刑期を終えたあとは一般人と差別をしないということを貫かないといかんと思う。


もし、実施するなら仮釈放中や執行猶予中に限定すべきで、それは性犯罪者に限定せず、全ての凶悪事件(殺人 強盗・放火・強姦)というくくりにするのが刑罰としては平等だと思う。
また、事の重大性はさておくとして、下記によれば凶悪犯罪の再犯率は3%程度なのに対し、窃盗・覚せい剤・傷害・詐欺などの再犯率は35%前後となっており、比べると1桁以上の差異がある。
もし、再犯率の高さを条例の根拠とするなら、このあたりの再犯率の高い犯罪についても同様の措置が必要と思われる。


仮に仮釈放中や執行猶予中の限定もつけずに、やるのだとしたら東京都の表現規制と同様に点火の悪法(条例だが・・・)と言われても当然だろう。



DNAの提出に関しては、こちらもまた性犯罪者に限定することには反対である。
こちらもまた、凶悪犯罪など大きなくくりにすべきで、性犯罪だけを特別に扱うのは問題がある。


実際問題として、DNAの提出は、犯罪に対するある種の抑止力としての効果が期待できる。
まあ、(どのような犯罪であれ)具体的に事を成したとしたら頭髪やらなにやらのDNA情報を取得できる証拠が現場に残されることは(例外はそれなりにあるだろうが)十分期待できる。


様々な犯罪の抑止や再発防止を考えるのであれば、有罪判決を受けたものに限ってDNAの提出を義務づけるのは有りかと個人的には思う。(なお、警視庁では有罪かどうかを問わず、DNAの採取を既に行っている、これは形式としては任意だが事実上強制)
しかし、下記のサイトでも問題にしているように「無実の者」のDNA情報の採取には断固として反対である。


警察庁によるDNAデータベース構築に問題はないか?
http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2005/06/post_33db.html


また、現状として下記のような「酷い」運用が堂々と行われていることをここに言い添えておく。


ジャーナリスト烏賀陽弘道さんが体験した警察の横暴
http://togetter.com/li/82613



・・・まあ、つまりやるならやるで、現状と人権、プライバシーの問題をもうちょっとまともに考えろと・・・そう言う話